恐怖心

 これで、ダメだったら、と思う。

 白か黒かの場面で尽力してこなかったツケで、こんなにしょうもない人間に仕上げられた。きっと立ち直れないに決まってる。

 

 誰より早く、なるべく勝算があるように動かなければいけないのに、こんなに逃げ出したい。恐ろしくて鼓動音がやたら響いて聞こえるくらい。

 

 他人にジャッジされるというのは日常的なことで、大人になれば多少は気にならないと思ってた。今でも、他の大人より情けないくらいそのことに対して臆病になっていることを自覚している。だから誰かと関わる機会がより少ないところに行きたくて、仕事を辞めたはずだった。

 そうしたら自分ひとり、この身一つそのもので勝負しなくてはならない場所に行きついて、ここでやっていきたいと思ってしまって、その結果がこの臆病風だった。

 

 やらなくてはいけないし変わらなくてはいけない。変わりたいと思うし、やりたいと思う。情けないままどこにも行けなかったなんて四十や五十になって思いたくない。一人で歩けていた自分を思い出して、頑張れ、大丈夫、ここで落とされても断られても笑われても次がある。大丈夫、まだどこにでも行ける、大丈夫、大丈夫。

 

 やる。